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2011/04/20 (Wed) この間の復活を勝負!

前回、更新していた浮世絵シリーズが消えてしまったので、

今回、復活祭をかけて勝負しちゃいます!!!!!


第35図 吉田驛
35.png
◆商品説明
吉田は、東海道五十三次では第三五番目の宿場に当る。しかし本英泉の連作では、第三四番目の二川宿の図を欠くため、頒布順序では三四番目の図ということになる。
この吉田の宿は、現在の豊橋市である。その昔は今橋と呼んでいたが、一七世紀と改称されたという。俗謡に、「吉田通れば二階から招く。しかも鹿の子の振袖が云々」よ歌われた東海道の宿場のなかでも屈指の賑いをみせた宿場であったという。そして、明治二年(1869)、現在の豊橋と改称されたのだという。先の俗謡は、この宿のはたごいにいた飯盛り女郎たちが、二階から客を招く様子をあらわしたものだといわれる。
 英泉描く本図は、街道筋の茶屋の女性が、吉田橋を渡る大名行列を眺めるといった趣向で構図されている。近くに山が迫り、吉田城を望める吉田橋に大名行列を配した構図は、これまた広重が保永堂版東海道五十三次ですでに用いている趣向をヒントとして作画したものと思われる。しかし茶屋女の姿態は、英泉独特の画風のもとで、彼女の着ている粋な小紋の文様は、天保年間(1830?43)大いに流行した柄だという。淡墨と黒の着物、暗濃緑色の帯、そして襟、前掛け、手ぬぐいなどの水色が巧みに配色されているため、江戸前の味を感じさせる。
 遠くにそびえる山並みの描写は、あくまでも英泉独特の描写法であって、本図の特徴の一つだといえる。

第36図 御油驛
36.png
◆商品説明
この御油の宿は、その昔、持党天皇が町の西方近くの宮路山に御駐在された際、油を献したという古事によって、御油の地名が生まれたといわれる。そして御油宿は、東海道五十三次の宿場の中でも小さい町であったが、次の赤坂宿とともに公領の地で、寛永一五年(1638)には伝馬一〇〇疋を常備する宿場となっている。そしてこの宿からは、秋葉山、鳳来寺山、豊川稲荷などへの参詣にも便利な地点でもあったので、朝夕酒宴を張ってさわぐ旅客の賑わいが、この宿の特色だと伝えられている。筆者英泉は、かきに満ちた街道の様子を、彼一流の漢画手法をいかした作風でまとめている。
こうした賑わいを見せる風景画をバックに、網目模様に大きな藍の蝶の模様を散した浴衣にくつろいだ女性が、眉を隠して、嫁いだ後の己の姿を想像する。
日本風俗史学会編の『日本風俗史辞典』をみると、「近世も中ごろとなると、女性は結婚と同時にお歯黒をつけるいわゆる�半元服�といって眉を剃るようになった」と記されている。彼女は、そうした慣習を知っていたのであろう。しかし彼女のヘア・スタイルは島田髷であるが、中剃りがあり一般の娘ではなく、いわゆる水商売の女性であることがわかる。それだけに人いちばい、嫁というものに憧れをもつ様子が、見事に描き出されている。


第37図 赤坂驛
37.png
◆商品説明
御油の宿からこの赤宿までは、わずか一六町(約1799メートル)という短い道程で、東海道の街道中でももっと両宿の距離が短い処である。そして両宿の間は、御油繩手といい、現在も約六〇〇メートルも続く黒松の並木が保存されていて、県の天然記念物となっている。ここは、『東海道膝栗毛』のなかで、弥次郎兵衛が、茶屋の老婆にこの松原は狐が出て人を化かすとおどかされ、先にいって弥次郎兵衛を持っていた喜多八を狐と感違いしてさんざんいじめるが、宿についてほんものの喜多八だとわかり、大笑いになるという一節の舞台でもある。
英泉描く本図では、東の入口の関川あたりから宮路山を望む雪の風景である。英泉は描線を多用し、暗い色調を得意としていたためか、あまり雪景でこれわという作品を遺していないといえる。しかし本図では、このバックの色調が、今、身支度しようとする女性の淡鼠色の裾ぼかしの、淡藍の着物の色を印象深いものとしている。背後に置かれた帯、懐中物、かたわらのつづら、かつら箱、踊りの小道具などから彼女が遊芸に優れた女性であることがわかる。芸者、或いは女芸人かと思われる。顔、手などの描写は自然であるが、甲高を思わせる足の描写に、やはり一九世紀に入って流行した一種の誇張されて表現される風潮の悪弊が、英泉にも及んでいることを知る。



第38図 藤川宿
38.png
◆商品説明
赤坂から二里九丁(8.8キロ)、東海道筋の小休み宿である。当図では、賛句のない故もあろうが、人物よりも背後の宿場風景にまず目が惹かれる。ぶっ裂き羽織に大小を差した旅姿の侍、若党・奴がいて、荷駄の数も多く、長柄の槍も見え、羽織袴の宿役人が応対している所から大名諸候の着倒直後であろう。一きわ高い札は従って投宿の主を記す関札と知られ、そうなるとこの家は、この宿の脇本陣(大名諸侯の宿で副格のもの)かと解される。現在橘屋という昔の脇本陣が中町に残っているからである。前景の美人は町家の女房風。ふだん着の帯もゆるめて、しだらなそうな姿で寝そべり、何かの草子をまさぐる。背後に、きざみ煙草を入れたらしい箱に懐紙をかけたのが見え、枕にしていた様子である。英泉らしい、生活が匂うような図柄である。余白の中央上部に「田中」の名主単印があり、弘化初年刊を示すが、その位置の不安定さと、後世「池鯉鮒」の図に極印とこの田中の印とが併存する所から、あるいは当図にも極印のある句入りの作品が存していたのではないかと想像させられる。

第39図 岡崎宿
39.png
◆商品説明
大がらの菊花模様の振袖に帯を堅結びにした女性の服装から御殿女中と考えられる。恐らく彼女の背後にそびえる岡崎城の御女中衆であろう。
その岡崎は、矢作川の支流大平川(菅生川)の両岸に発達した土地で、一五世紀中期ごろ、松平清康(徳川家康の祖父)によって城下町となった。そして江戸時代になると、駿府(静岡市)につぐ東海道有数の宿場町として栄えた。
英泉描く本図でも、白亜の壁に藍色の屋根の美しいたたずまいをみせる岡崎城。大平川に架かる東海道一の長い橋上には行き交う人々があふれ、岡崎宿の盛況ぶりを見事にとらえている。
英泉はその自然美を、遠山を処理するのに濃藍のベタ摺りで、またその手前の山の描写に必要限度の描線と淡い鼠のベタ摺りで処理し、英泉独特の風景画としている。こうした色調のために、高島田の御殿女中の美貌ぶりがさらに印象的なものとなっているといえよう。淫奔な女性美描写においては、当代一の手腕をみせる英泉も、こうした御殿ものという画材であるためか、彼本来の生気あふれる画風とはやや異なる画趣の女性美表現となっている。からだをそらし、両手を組み合わせたポーズで、その女性のうぶさを表そうとした英泉の作画意図がいかされているといえよう。そして図の空にほどこした紅の板ボカシが、この図を華やかなものとしている。


第40図 池鯉鮒
40.png
◆商品説明
池鯉鮒は岡崎から三里三十丁(十四.九キロ)の所にあり、知立とも書く。英泉は前景美人に御屋敷勤めの老中を選んだ。天保の改革の進む頃で、当局の出版への干渉もおそらくうるさく、こういうやや固い題材を選んだのではなかろうか。とはいえ、自分の部屋でふだん着を描き、奥女中を象徴する紫の矢絣が、織物の帯や、少しく見せた緋の長襦袢に映えてなまめかしい。膝の上で読む本は、他の冊の題簽に「桐壺 �木 空蟬」「紅葉賀」「胡蝶 蛍 常夏」などの巻名が見えるから、『源氏物語』と容易に知られ、当時この階層の女性の教養がおしはかられる。背後の風景は満月下の松並木を行き交う馬上の武家と徒歩の庶民。現在は知立宿に入る手前百メートルほどの所に保存された松並木があり、このあたりか、あるいは昔には同様な状態で松並木のなしていたこの沿線上の街道風景であろう。桐油らしい被いをまとった馬子が前をかき合わせた姿に、冷気と旅情を感じる。日本の松の梢にかかる満月も路上にそそぐ光を感じさせる。知立の宿に近い古蹟、八ツ橋の文学性を選ばず、鄙びた街道の野趣を採った所に英泉らしい感覚を受け取る。なお当図には版元印の上に極印があり、上部に離れて名主の単印「田中」が押されている。おそらく句入りの初版があって、天保改革後、その句を削り、「田中」の印を入れ木したが、極印の削除を忘れ摺出したものと見られる。
なお総説で述べたように、この図の後の宿を描いた作品はまだ発見されていない。

今回で美人東海道全40回終了っす!

次のシリーズをお楽しみに~!


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